三ッ沢まで増山くんを観てきた話。

新年早々の大雪の影響により関西方面で(主に交通網が)ドえらいことになっているタイミングで行ってまいりました、高校サッカー

お目当てはこの人です↓

2014年11月20日 東福岡高等学校よりMF増山朝陽選手加入内定のお知らせ
http://www.vissel-kobe.co.jp/news/article/8349.html


ヴィッセルの2015年に向けた一発目の加入選手となった増山くんです。
増山朝陽(以下、増山)という選手の評判は加入発表前から聞いていたのですが、実際のプレーを数秒の映像でしか見たことが無かったのです。
なので今回の高校サッカー選手権大会で一度生でじっくり観てみようと思い、大雪で遅れていた新幹線に飛び乗り行ってきました。

観たのは3回戦の東福岡VS静岡学園という好カードで、場所はニッパツ三ッ沢球技場。
好カードと言えども3回戦だし、観客はあまりいないだろうと思っていたのですが・・まさかの大入り。
「確実に横浜FCのホーム開催試合より入ってますよね?」という混み方をしておりました。
気を抜いて試合開始直前なんかに来ていたらメイン側でじっくりと観れない可能性すらありました。
全席自由席なのでメイン・バック・ゴル裏と好きな場所を座れるのです。
あ、そういえば静岡サッカー関係者も大勢いらっしゃっていたのをみて「サッカー王国」の片鱗をみたような気がしました。でも日本サッカーの歴史は神戸から始まっていますけど、ね。(←これだけが言いたかった)


さて、運よく1席の空席を見つることができたのでホワイトベルグサッポロビール発泡酒)を呑みながら観戦です。
事前に両高校の情報を頭に叩き込んでから観戦しようかなとも思ったのですが、フラットに試合を観るのも一考だなと思い、お目当ての増山の背番号が7番だということのみを頭に入れて試合を観ることにしました。
ちなみに横浜FM加入内定の中島君の背番号が10番だということは会場の電光掲示板をみて初めて知りました(←)

試合は開始当初は東福岡がいいリズムで攻めており、ぶっちゃけ「静岡学園弱っ!」とすら思うぐらいだったのですが、徐々に静岡が盛り返していきました。前半20分過ぎぐらいからは東福岡がボッコボコにされていて、増山君もあまり見せ場が無かった感じです。静岡学園は増山を上手に封じ込めていました。さらに言えば増山と同じサイドのDF堀くんがあまり安定感がなく、ガンガンそこを攻めていて、その結果リズムが静岡側にきました。
後半はもう前半途中からの勢いそのままに静岡学園の独り舞台状態で、後半開始10分後から東福岡も完全に集中が切れてしまい終わってみれば0−3で静岡学園の圧勝でした。高校生と言えども全国大会に出てくるレベルなので、あんな状況では増山や中島を擁してもひっくり返せないですね。(っていうぐらい後半の東福岡は酷かったんです)
個人的には東福岡の方が僕が好きなスタイルのサッカーをしていたので後半の内容はとても残念でしたが、その中でも増山は一際目立っていて良い観戦ができました。

贔屓目も当然あるのですが(笑)、増山は体幹がすごくしっかりしていて「あ、プロに行く選手だな」とすぐに思いましたし、ボールの持ち方もスッとしていて『東のクリロナ』と呼びたくなる気持ちが少しわかりました。(ちなみにドリブル時のモーションもそっくりでした)各媒体の紹介文通りの荒削りながら将来性は抜群にある選手だと感じました。「この選手が戦力として使えるようになったら熱いで!頼むでネルシーニョ!」という高ぶる猛虎魂・・もとい気持ちを抱きながら帰神するに至りました。


というわけで、増山にいきなり過度な期待をすることを僕はお勧めしません。
しかし、ヴィッセルの若い選手にはいないタイプの選手(個人的にはパワフルな印象を受けました)ですし、何しろワクワクするような佇まいを持っている選手です。2015年はノビノビとそして溌剌とプロの洗礼を受けつつ、来るべき飛躍の準備をしてほしいですね。


ふと帰りの車内で思ったことを最後に書きます。
宮市亮を擁した頃の中京大中京のような糞サッカーをするチームってまだあるんですかね。俺、大嫌いなんですよね。あのときの中京大中京のサッカー。宮市をひたすら走らせるだけで終わっていったあのサッカー。10人が1人のためにボールを延々と放り込むだけのサッカー。
今回の2チームはそういう10人をないがしろにするような極端なことをしなかったので本当に良かったです。

良い試合を観れました。

年の瀬ですけども・・

あるとき、りゅうの子どもが、くもにのってそらをとびあるくうちに、どうぶつ島という島におちてしまいました。
そして、はねをいためてくもへもどれなくなりました。
どうぶつ島のどうぶつたちは、りゅうをつなでしばってしまい、りゅうのこどものけががなおると、どろ水の川の上をいったりきたりとびまわらせて、わたしぶねのかわりにつかいました。
そのようすをみていた、としをとったねこがりゅうに、しまからにげだすのを手つだってあげるとやくそくをしました。
ねこは、しまからかえって9つのゆうかんなおとこの子に、りゅうのはなしをしました。




あと数日で2014年のフットボールを巡る旅が終わろうとしています。
この1年はどんなことがあっただろうか・・ちょうど今は1年の振り返りをする時期です。
僕たちのようなサポーターは当然、愛すべきチームと「トモニ」過ごしてきた悲喜交々な日々を思い返します。
「あそこの雨のアウェイ戦は本当にキツかった」とか「あのロスタイムでの得点は最高に痺れたよ!」とか、1試合1試合に素敵な思い入れがあるからです。
個人的なベストゲームは4月のアウェイ大宮戦。
2週連続で埼玉勢を相手に完勝しました。このころはメディアでも快進撃ということで随分と取り上げられており、夢見るサポーターで居られた時期でした・・(遠い目)。
逆にワーストゲームは9月のアウェイ甲府戦。
降格圏内のチーム相手に何もできずに完敗した試合でした。ここで踏ん張っていればまだ賞金圏内も狙えたかもしれませんが、結局は踏ん張りきれませんでした。
この試合で完全に歯車が狂い、狂ったまま今シーズンは終わってしまいました。


W杯中断明け、所謂後期日程から「サポレポ」の掲載が始まりました。(個人的な話で申し訳ないのですが、もう名前とURLがオンライン上に掲載されているので書いております)
後期日程の試合に関しては過去のものをご覧いただきたいのですが、
担当したサポレポは各試合で感じた想いをなるべく「生鮮直送」状態で書き綴ってきたつもりです。
もちろん、その時々の事情を考慮して表現には気を遣う部分もありました。
不用意な表現を使ってスタジアム出入り禁止になっては本末転倒だし、不特定多数の方に不必要な敵対心を抱かれるのは嫌ですからね。
(でも、そう思われている方がいたらごめんなさい)
表現には気を遣いましたが、(サポレポ編集部の英断により)書き手である僕に自由な裁量を与えてくれたおかげでサポレポの内容に関してはある程度満足しています。
僕は7月以降の今年の神戸のサッカーに関しては失望しているし、安達亮氏の退任も致し方なしと思っています。
そういう想いをサポレポの中でも何度か書いてきましたが、普通ならばこれはクラブ批判となります。
特に日本ではサポーターと名乗る以上、その時々の目の前にあるサッカーを全力で愛し倒さなければならないのかもしれないのですが、僕はまだそこまで大きな人間ではないのです(苦笑)
僕は、愛してやまない神戸の街にあるサッカーであっても内容と結果が悪ければ批判するのも1つの愛情だと思っています。
そのような自己中心的な愛情表現を受け止めてくれたサポレポ編集部や読者の皆様には本当に感謝しています。ありがとうございました。
今回、僕のサポレポのタイトルは全て音楽に関係するものを採用しました。
フットボールには様々な要素が含まれています。そして勿論、音楽の要素も入っています。選手を鼓舞するときに歌うチャントも立派な音楽です。
音楽は人々を感情の渦へと巻きこんでいきます。
フットボールの場合でも同じです。フットボールが引き出す感情の渦へ巻き込んでいきます。
そうした経験が出来る環境があるのは素敵なことです。無観客試合ではそうした経験は絶対に味わえないですからね。


さて、今回はそのような感情の渦を個人的に書き留めるべくサポレポ以外の場所も利用しようと思いました。
なので約1年ぶりにこの場所を更新しようと思った次第です。
愛すべきヴィッセル神戸の話もしつつ、恐らく行くであろうアジア杯のお話や既に行ってきたブラジルW杯のお話を「感情の保管」という意味でつらつらと書いていく予定です。
電車の中で本当にひまなだぁと思った時に読んでください(笑)
自身の国語の勉強のためにもそういう内容にはしたいと思ってます。



来年はどのような感情の渦にスタジアムで巻き込まれるのでしょうか。
空飛ぶ竜の背中に乗れなくても、エルマー・エレベーターのようにワクワクするような体験ができたら幸せですね。

2015年のフットボールを巡る冒険も一緒に楽しみましょうね!

5大会連続の出場が決まるかどうかの試合の前に。

サッカー日本代表というと僕の記憶に鮮明に蘇ってくるシーンは3つ。

1つはフランスW杯予選の時の岡野のゴール。
2つめは中山が本大会ジャマイカ戦で決めたゴール。
3つめは南アフリカ大会で本田が決めたデンマーク戦のFK。

以上3つ。
他のシーンも思い出せるのだけどその3つが最初に絶対浮かんでくる。


幸いにも僕はW杯を生で体験したことが既に一回だけある。
忘れもしない2002年6月17日。
上川徹が4th審判を務めたブラジルVSベルギーの試合だった。
今はもうないが、神戸ウィングスタジアムに設けられた急こう配の仮設スタンドから僕はその試合をみていた。
スタジアムへ行くまでの僕は、サッカー好きであったものの「ブラジルVS日本」というカードではなくなったことへの不満が少なからずあった。(日本が予選を2位通過していればブラジル日本という組み合わせだったと記憶している)
しかし、スタジアムに入った瞬間、そんな不満は完全に消えていた。
初めて触れる「世界」に魅了されたからだ。
そこでは、両チームの応援に両国から駆け付けたサポーターが放つ、生々しくかつ暑苦しい熱狂が渦巻いており、高校生の僕はただただ呑まれたのであった。
ブラジル側の応援席にいた僕は当然ブラジルの応援をしていた。
ピンチの時は息をのみ、チャンスの時は盛り上がっていた。
そして生涯忘れることのないゴールシーンを目の前でみることになる。
後半22分、リバウドが目の前でゴールを決めたのだ。
テレビでしか観ることができないスター選手が僕の目の前でゴールを決めた・・その時に僕は「サッカーの面白さ」を久しぶりに存分に味わった。

僕は小学1年生の途中までサッカー教室に通っていた。
毎週土曜日に近くの公園でやっていたサッカー教室だ。
教えてくれたのは神戸FCのコーチだった(と記憶している)。
僕はそこで初めてサッカーというやつと出会った。
上級生に混じりながらボールを追いかけて、点を取る。そして喜ぶ。
僕はその時のことを今でも夢で見る。忘れたくない思い出の一つだ。
だが、そのサッカー教室は僕が2年生になる直前に無くなる。
阪神淡路大震災で活動ができなくなったのだ。
公園や周りの建物などは無事だったが、避難されてきた方が多く居たし、無傷の公園には当然仮設住宅が建てられ、ボールを使うスペースがなくなったからだ。
毎週土曜日の教室がなくなり、僕の住んでいた地域からはボールで遊べるスペースがなくなり、僕はいつの間にかサッカー教室で体験していた面白さを少しずつ忘れていっていたのだ。


だから僕はリバウドがゴールをした瞬間の現地の盛り上がりを忘れることは(認知症や記憶喪失にならなければ)忘れないだろうし、これからのフットボールライフの中でそのときのことが一種の基準になるのだと思う。


今日これを書いているのは2013/6/4の16:55だ。
少なくとも4時間後には結果が出ている。
来年こそはまた生でW杯をみたい。
そして今度は日本代表の戦いも生で観たい。
しかも今回の開催地はブラジル。
僕は僕のためだけに日本を応援します。
けど、根底にある思いは皆さんと一緒です。

「日本、頑張れ!勝ってくれ!」という思いです。


(試合の内容については時間があれば書きます)

追伸:ベルギー戦の、ロナウドが決めた2点目も鮮明に覚えていますし、興奮しました(笑

昔のお話から今のヴィッセルを読み解く。その3

(その2からの続きです)

                                                                      • -

チーム編成をするにあたっても組織としての活性化を重点に置いています。基本は「チーム愛」「地元愛」に満ちた地元出身選手を中心に発掘・育成をすることです。しかし「純血」だけでは限界があり、他の地方出身選手や外国籍の選手など多様なバックグラウンドを持つ人材をミックスすることで組織としての活性化を図っています。三木谷会長の経営されている「楽天」グループも同様なことを行っていますが、これはヨーロッパの強豪クラブでは当たり前のことです。言葉や文化の壁などを越えて、相互理解・コミュニケーションを深めることでチーム力が向上するのです。現在、チームは日本・韓国・ブラジルの3カ国のスタッフ・選手で構成されています。ちなみに2006年にはこの3カ国以外にチェコ・イギリス・スペイン・ポルトガルといった国のスタッフ・選手が在籍していました。
そうしたチーム力向上を行いつつ、「発掘・育成型」のチームを指針としています。


若手(人材)育成についてですが‥若手選手には「1人前のプロサッカー選手である前に、1人前の人間でなければならない」という意識を植えつけ、教育をしています。サッカーだけの人間にならないようにサッカー以外にも興味・関心を持つようにも指導しています。2005年、神戸に戻ってきたときにクラブハウスにはスポーツ新聞しか置かれていませんでした。私はすぐに日本経済新聞を置くように指示しました。そういう具合にクラブハウス内から徹底していきました。
また新人をスカウトする場合にはプレーだけではなく、人間性も重視しています。なので選手個人はもちろんですが必ず親とも面談をします。「この親にしてこの子あり」というわけです。過去に兵庫県内では名の知れた3選手をスカウトに推薦されました。その3選手のプレーはすばらしかったのですが、親と面談して獲得を見送りました。その後、彼らは他チームへ入団したのですがそれから目立った活躍はしていません。この方針はこれからも同じで続けていくこととなります。
育成をする側も同じような方針です。育成部門(ユース)のスタッフには、サッカーのコーチである前に子供たちに人間教育ができる人物でなければならない、と言っています。

トップチームの選手などは現在「夢で逢えたら」というような企画をしてもらっています。小学校を訪問して子供たちとふれ合いながら、色々と子供たちにアドバイスをするという企画なのですが、移籍1年目とかの選手は必ず困惑しています。何に困惑するのかというと「普段(大人が)使っている言葉を子供たちに使っても理解をしてくれないからどうやって説明すればいいのか」ということです。徐々に慣れてきてこの悩みは消えてくるのですが‥こういうことも人間性を磨くことに非常に効果的だといえるでしょう。

ちなみにこの「夢で逢えたら」という企画は非常に好評でして、多くの小学校から訪問の依頼を頂いております。今後も全校制覇を目指して続けていきたいと思っています。




「トラブル(失敗)の時こそ、チャンスである」という精神を浸透させ、失敗を失敗として改善せずに放置することなく、次の成功に生かされるようにすぐ考え、行動を起こすことが大切です。神戸の場合でしたら、J2へ降格したときです。J2降格という失敗をチャンスに捉えて、神戸をゼロから作り直せる良い機会と捉えていました。実際にそういったことをスポンサー様の前でも言いました。
J2降格となると選手の移籍が例年より多くなるのですが、「本当に神戸でプレーしたい選手のみと契約」をしていきましたし、離れていくスポンサー様もいらっしゃったのですが「苦しいときこそ支えてくださるスポンサー様」と共に、より地域を密着した活動を重視し、共にJ1への道を歩んで参りました。余談なのですが、J2降格の際に「出て行く」といった選手に対しては一回も「出ていかないでくれ」と言いませんでした。こういう精神を私は持ち合わせるようにしていますので不思議なことに人生において挫折を感じたことは一度もありません。人生の70㌫は思い通りいかないもので、残りの30㌫はうまくいくのです。うまくいかないときに「負けんぞ」と思うことが大切だと思います。なので私はサインを求められて書かせてもらうときには「念ずれば花開く」と書きます。


大久保の移籍についても悲観することはなく、むしろ新しい選手を連れてこれるという認識です。選手の移籍等もまたサッカーの1つの楽しみと言えるでしょう。



最後に「羊は群れをなせば、狼をも倒す」ということについてです。目標を設定することにも少なからず関係してくることなのですが、この言葉はヴィッセル神戸設立以来のチーム哲学です。設立当初の状況(震災直後だったという状況)を鑑みて、助け合う心(チームワーク)を重視するという考えを表現していると言えます。私が関西学院大学の学生だった頃に先輩の引退を祝う宴があったんですね。その場である先輩から「おまえらが全国大会に行ったら裸で街を歩いてやる」と言われたんですよ。それがもう悔しくて‥(笑)そこで練習をずっとしたんですよ。すると全国大会に行けたわけです。当時の関西学院のサッカー部というのは今とは全然違った悲惨な状況で、関西選抜に選ばれたヤツは誰1人としていなかったんです。でも我々はチームワークで何とか勝ち上がっていきまして…すると早稲田大学と対戦することになったんです。当時の早稲田には川渕キャプテンや鬼武(元・チェアマン)などがいたりしてオールスターなチーム。そんなチームとチームワークを武器に戦ったら勝ったんです。ちなみにその年は全国優勝をしたんです。そうした自身の経験からも「羊は群れをなせば、狼をも倒す」という言葉は非常に興味深い言葉なのです。この言葉も私の考える組織論にとって重要な言葉です。

最後に‥



ヴィッセル神戸は1995.1.17…つまり震災の日に生まれたチーム。

震災からはい上がってきた街「神戸」を本拠地とするチーム。

2003年に民事再生法が適用された後、復活を遂げたチーム。

J2降格からわずか1年でJ1に復帰し、アジアを‥世界を目指すチーム。

練習でも試合でも、常にベストを尽くす絶対に諦めないチーム。

これがヴィッセル神戸というチームです。


神戸学院大学様とのパートナーシップ協定に基づくこの講義は今年度で最後だと聞いているのですが、これからもどうぞヴィッセル神戸というチームをよろしくお願いいたします。
注:現在はまた神戸学院大学様はパートナーになっています


(2009/1/8 神戸学院大学にて)


なぜ、僕が安達副会長のこの講演の内容を再度世に出したかと言えば、今のヴィッセルを見守る上で極めて重要なことを説かれていると感じたからです。
前回のエントリー内容にもありましたが、

1.明確な目標を掲げる。
2.役割分担
3.混血は純血よりも優位なり
4.人材育成は人間の幅を広げることが大切
5.トラブル・チャンスはタイミングを逃がさない
6.キーパーソンをみつける
7.羊も群れをなせば狼をも倒せる

という7つのポイントはヴィッセルを応援するうえでも、そしてそのほかの場面(ex.仕事)でも押さえておくべきポイントだと思います。

今、ヴィッセル神戸はJ2にいます。
J2の中ではG大阪や京都、千葉と同様に昇格候補に挙げられるチームです。
他のチームからすれば「狼」にみえる存在でしょう。
だからこそ他のチームは必死で挑んできます。
神戸は長年J1に居ながらも1桁順位を一度しか経験していません。
挑戦を受け入れる立場というものに縁の遠いチームというのが現状です。

いくらJ2でも舐めてかかってると既に3回負けていることが示す通り、ヤラれてしまいます。
ハッキリとした表現を使えば、挑戦を受け入れられるだけの余裕や経験が僕たちにはまだないのです。
つまり、まだまだ未熟者であり、高みへと挑戦をし続けなければいけない立場です。

先に記している通り、この講演会は2009年に行われたものです。
ヴィッセル神戸が2006年にJ2へと降格してから3年後に行われたものです。
「奇跡の残留」と言われた2010年から3年後の現在。
僕たちの愛すべきチームは再度J2で戦っています。
もう一度、「このチームについていく」と決めたからには原点を見つめなおす必要性を感じました。
もちろん自戒でもあります。

そのときにこの原本メモを読み直して、みなさんに是非とも読んでほしいと思ったので公開しました。(特に先述の7つ)


このエントリーと共に黒田和生・著「トモニイコウ」を読まれることをお奨めいたします。

昔のお話から今のヴィッセルを読み解く。その2

その1の続きです。

                                  • -

私自身が考え、そして実行している組織論をご紹介しようと思います。
まずは以下の7つの事を念頭に置いています。その7つについて少し説明させていただきます。


1.明確な目標を掲げる。
2.役割分担
3.混血は純血よりも優位なり
4.人材育成は人間の幅を広げることが大切
5.トラブル・チャンスはタイミングを逃がさない
6.キーパーソンをみつける
7.羊も群れをなせば狼をも倒せる


チーム全員が共有できる短期・中期・長期の明確な目標を掲げることで組織としての活性化を図っています。神戸の場合‥短期ならば2008,J1 5位以上、中期ならば2010,国内タイトル奪取(ACL出場権獲得)、長期ならば2015,CWC出場(アジア王者へ)という目標を掲げています。よくこの説明をするときに言う話があります。それはアポロ計画の話なのですが‥なぜアポロ号が月に初めて行くことができたのかというのを考えれば、(諸説ありますが)根底にはNASAの方が「どうしても月にいきたい」という目標があったからなのだと思います。ではその次に何を思うのかと言われれば「実現するのはどうすればいいのか」を考えるのです。例えば‥ロケットの耐久性の向上とかスピードとか…ですね。そういうことの積み重ねの結果がアポロ11号だと思います。つまり、目標がなければ行き場所がないということです。人間の場合でも目標がなかればダラダラとしてしまうものですよね。

そうした目標設定の中で次はその目標に関わる個々人の役割についても明確にしなければなりません。

トップチームとサテライトチームの2チームを編成しているのですが、同じプロでも扱いが全く違うわけです。

サテライトチームの選手は人工芝で練習をして、用具の管理も自らが行わなければいけないのです。当然ボーナスの支給額も違ってきます。
つまりサテライトチームの選手はプロであるのですが、はい上がってこなければいけない立場なのです。そういう意識(何をしなければいけないのかという事、役割)を常に自分の中に持ってもらいたいのです。

役割を明確にするということは当然GMと監督、その他スタッフにも言えることです。一般的な会社で例えれば…部長からそのまま担当社員に指令が下されるのではなく、部長から課長へまず指令が行き、そこから担当社員に指令がいく。ということです。もちろんそれで処理速度が遅くなってはいけませんのでそこは普段から然るべき関係を築いていなければなりません。そこはキーパーソンをみつけろ、というのにもつながります。円滑に運営されている企業には必ずキーパーソンが存在します。それとの信頼関係をいち早く構築することが組織をより活性化するためには不可欠だといえます。選手とスタッフの立場において考えれば「誰が、他の選手に影響力の強いのか」を素早く見極めてその選手としっかりとした人間関係を築くように努めます。2007の途中に大久保にキャプテンを任命した理由にはそうした部分が少なからずあります。彼の技術力はJリーグの中でも群を抜いており、更にその技術を持って周りを生かせるのが大久保です。また「負けん気の強さを表に出す」という性格がヴィッセルに欠けており、Jリーグ全体をみてもそういう選手がキャプテンになっていることが少ないこともあり、チームのさらなる活性化にはこういう人材がキャプテンとしていることが必要だと思い、彼の人間性に託したのです。


(その3へ続きます)

昔のお話から今のヴィッセルを読み解く。

現在、ヴィッセル神戸の副会長をやられている安達貞至氏。
安達氏がGMとして現場に立たれていた2009年1/8、神戸市にある大学にて公演された時の内容です。

なぜ、今この内容を再度出す(昔出したことがあるのです)のかと言えば、簡単です。

非常に面白い内容だからです。特に2008年・2009年あたりの神戸を目の当たりにされているサポーターの方にとってはなおさらだと思います。
また補強についてだけではなく、「これからのヴィッセル神戸」について語られているのでご一読いただければ幸いです。
尚、赤字の部分は2013年に書き足した脚注です。

                                                          • -

まず、昨シーズンの感想を挙げるとすれば、2008と2007の勝ち点と順位は同じですが、内容は全く違うということです。2008ではチームの総合力が底上げできているのが評価すべき点です。底上げに貢献してくれたた選手の一例を挙げていくと‥松岡、田中、石櫃、馬場の若手の大卒組。小林、内山のベテラン。そしてナミル。
若手4人はよくやってくれました。特に田中は入団当初は月10万円の給料だった(練習生みたいな給料だった)のですが、15万円にしたらそこからすごく伸びました(笑) 石櫃が日本代表候補に選出されましたが、日本代表候補を決める際の最終リストに田中が残っていたと代表関係者から聞いています。
注:この講演後に発表された代表候補選手一覧に田中英雄の名前が掲載されていました。当時の代表監督はオシムです。

次にベテランの2人(小林と内山)ですが、チーム加入当初は自信なさげなプレーばかりだったのですが、しかし2008については非常にベテランらしい‥落ち着きがあって更に自信が漲るプレーをするようになりました。来年もこの調子で頑張ってほしいものです。ナミルも当初は(戦術やレフェリングの違いなどで)戸惑いが見られるプレーだったが、徐々に慣れてきてくれて最終的には実力に見合ったプレーをみせてくれました。素晴らしかった。


2009の目標は勝ちきること。今年(2008)は11試合も引き分けている。うち半分ぐらいは先制した試合。そこをキッチリと勝ちきっていたら優勝戦線に絡めていました。2009こそそういった試合を勝ちきって上位にいけるようにしなければならないと考えています。
そのために補強をしたりして2009の準備しています。


補強‥つまりチーム編成については情報を追っていらっしゃる方が多いと思うのですが、まだ移籍市場はオープンであるので是非とも1/18の新体制発表会を楽しみにしていただきたいと思います。


それだけではあれなので簡単に現時点での状況を簡単に説明しようと思います。

入団が決まっている選手についてですが、FWのマルセウを獲得しました。個人的に魅力に感じたのは、彼は所属チーム得点王であるのに11アシストをしている部分です。契約の時にマルセウの奥様とお話をする機会がありました。そのときに私は奥様に「神戸にはブランド店がたくさんあるので、ブランド品の買い物がしやすいですよ」と言いました。すると「私はブランド品には浮かれません。私は主人が神戸でキチンと仕事ができるように家庭を守るつもりです」と返されまして、非常に迂闊な事を発言したと思いました。しっかりとした方が家庭内にいらっしゃるのは非常に心強いものだな、と思っています。

次に我那覇についてですが‥彼のドーピング問題の時に神戸は当初から「おかしい」と我那覇を診ていたドクターと共にJリーグ側へ提言し続けていました。結果、彼はシロ(ドーピングはしていないと判断された、という意味)であったのですが、この騒動によりコンディションを崩してしまい、その後シーズンを通してコンディションを復調させれずに戦力外となりました。そしてシーズン終了後に「神戸に来てくれないか」と声をかけたときに「いいんですか!」と彼は答えてくれました。神戸で復活してくれれば必ずや日本代表にまた選出されると思います。頑張って欲しいです。
次に大卒新人についてですが‥
大屋は1回のときから注目していた選手です。注:練習生として神戸にも在籍していました
楠瀬についてはウチにいないタイプのドリブラーの選手です。有名な話をしますと‥日本代表との練習試合を彼の所属していた流通経済大学が行ったのですが、そのときにある代表DFを2人、エリア内で抜き去ってシュートを決めたんですね。岡田監督もそれをみて『あいつは誰や』と言ったそうです。


次に移籍していく選手について簡単に説明します。

2人のエースストライカーが移籍することはサッカーならばあり得ることです。
9月の時点でその対応策として、ブラジルに10日ほど視察をしていました。前述したマルセウなどの選手を視察していました。
また監督についても同様に視察をしており、ドバイの方まで監督候補の中に入っていた監督に会いに行ったりしていました。そうした中で最終的に4人に絞った中からカイオ氏に決めました。当初は松田監督の続投を決めており、会長からも「松田監督でいこう」という話が出ていたのですが、多々の事情があり「このままでは2010年の目標は無理だ」と決断し、松田監督との契約を延長しないこととなりました。注:ここについては後日詳細を注釈としてつけます


余談ながら、2人ほど(?)正式な契約間近の選手がいます。名前の方は正式契約前なので明かせませんが、私に「神戸でお世話になります」という旨の電話をくれました。(2人が)来てくれることになれば大久保の穴を色々な意味で埋めてくれる選手だと思います。
サッカーに少し興味を持たれている方なら名前は聞いたことがあると思います。

是非とも1/18の新体制発表会を楽しみにしていただきたいと思います。
注:2人の選手というのは諸説ありますが、1人はもちろん正式に神戸へと加入した宮本恒靖選手。もう1人は結果加入しなかった坂田大輔選手(当時、横浜FM所属)のことです。

(1/8 神戸学院大学にて)   →その2へ続きます。

その男、挑戦者につき。

西野朗は「挑戦者」だ。
マイアミの奇跡」が起こったアトランタ五輪では「ある意向」でOA枠を使わずに戦い、ブラジル代表に勝利した。
「守備的なサッカーで将来につながらない」と評されたそのチームを率いたのはご存知、西野朗である。
西野朗は「攻撃的なサッカーを標榜する監督」と評されるが、それは少しニュアンスが違う。
正しくは、「勝つために何が必要かを知っている日本で唯一の監督」だ。
だからこそ、Jリーグ通算240勝を成せるのだ。

勝利を掴むには挑戦し続けなければいけないということを、柏レイソルガンバ大阪にタイトルをもたらした西野朗は知っている。
所以、彼は神戸への就任をリーグ中断直前に行い、チームの現状を見極め、中断期間中のナビスコ杯の試合で選手にチャレンジを求めた。
その効果はリーグ再開戦となった磐田戦を見ればわかるだろう。

神戸は、指揮官が求める「チャレンジ」という部分を徐々に理解し、確実に前進している。

では、僕たちサポーターもトモニ進んでみようじゃないか!
「チャレンジ」という合言葉とトモニ。。

「チャレンジ」という西野色が組み合わさった神戸をホームでもアウェイの地でも鼓舞し応援し続けるのが、僕たちサポーターの「挑戦」でもあると思う。



最後にある人物2名の言葉をご紹介したい。その言葉の意味をもう一度踏みしめて、2012年シーズン後半もトモニ神戸を応援していこう。



ヴィッセル神戸は震災のあった日に生まれたチーム。どんなことにもめげずに立ち向かうチーム。チャレンジ精神を持ったチームなんです」安達貞至

「神戸のすべての関係者に言いたいのは、運命というものを見据えるわけでなく、その道程の一歩一歩を見ることが重要だということだ」スチュアート・バクスター